「愛国心」とは何か。
戦争のことや日本と外国との関係などについて見聞きしていると、「愛国心」とは何かを考えさせられます。
ヘイトスピーチをしている排外主義者は「愛国」者なのか?
”「日の丸・君が代」は国旗であり国歌なんだから否定する日本人はおかしい”と言う若い教師は「愛国」者か?
自分の国・民族が真に誇らしいものになることを望むことが「愛国心」だと言えるのでは?
そして、「誇らしいもの」とは過ちを消し去ろうとするものではなく、過ちを認め、謝罪し、再び起こさないよう努力するもののことを言うのでは?
◎【コラム】”鈴木邦男の愛国問答-勇気を持って「当たり前のこと」を言う”(1月8日 マガジン9
http://www.magazine9.jp/article/kunio/10157/より抜粋)
『3月には孫崎享さんとの対談本が出る。去年の後半は何度か対談した。
年末の12月28日にも5時間対談した。これが5回目かな。
ペリーの黒船から始まって、長い日米関係について話し合ったのだ。なぜ、アメリカ相手に戦争をするはめになったのか。外交の力とは、軍隊とは、国を守るとは何か、といった話をした。
孫崎さんは元外交官で、外国での生活が長い。日本という国を背負って、外国と交渉する。自分が「日本」になるんだ。その体験から、外交史について講義してもらった。
又、明治維新以降の日本の歩みについて、一つ一つの「節目」について話し合った。
日清、日露の戦争で日本が「大勝利」をした。日露戦争は、かろうじて講和に持ち込めたのであって、本当は「大勝利」ではなかった。
でも、日本中が沸き立った。強国ロシアを破った。日本は神国だ。イザとなったら神風が吹くんだ。…と、大喜びし、そして思い上がった。
「負け戦」からは人は学ぶが、「勝ち戦」からは何も学ばない。傲慢になる。そこから日本の間違いが始まった。
日露戦争は「大勝利」ではなかった。アメリカの尽力で、かろうじて講和に持ち込めたのだ。
そのことを国民がキチンと知っていたら…。「そうしたらアメリカとの戦争はなかったでしょう」と孫崎さんは言う。
じゃ、国民が愚かだったのか。いや、政府や軍が、「勝った!」「勝った!」と言った。新聞がそれを誇大に書きたてた。それが悪いのか。
新聞の宅配制度は日露戦争の時に始まったという。肉親が、郷里の人々がどう戦っているか。日本はいかに戦っているか。それを伝えるのは新聞だけだった。全
国民の眼となり、耳となっていた。新聞の方だって、読んでもらうために、(失敗や悪いことは載せないで)華々しい戦果ばかりを載せる。そして、「間違った
大勝利」を作り上げた。
そういった、日本の過ちと反省について話し合った。こんな話をしてると、「反日的だ」と批判されるかもしれない。
しかし、日本の失敗した点、悪い点を見ないのは、「見る勇気」がないからだ。それでは本当の愛国心ではない。長所も短所も見て、その上で、いとおしいと、抱きしめるのが愛国心だろう。』
『『通販生活』は、さらに「山椒言」という巻頭言がよかった。菅原文太さんが書いている。
〈日本人はアジア人。アジアの隣国同士が融和して、EU(欧州連合)ならぬAU(アジア連合)をつくる方向へ進むべきだよ〉
…〈中国も韓国も反日ばかり言っている状況でAUをつくるなんて夢物語だ、みたいに思う人もいるだろうけど、反日の遠因は、日本人が過去の侵略戦争についてきちんと歴史を検証していないからじゃないのか。
満州事変から日中戦争が終わるまでの中国人の犠牲者は、大変な数だったらしい。
韓国だって、日本が一方的に併合してしまったわけだろ。
もう謝ったんだからいいじゃないかと開き直るんじゃなくて、かつての非は非として認めて、これからは同じアジアの隣人同士、融和の道を進むべきだよ〉』